社交ダンスの競技会「スーパージャパンカップダンス」を観戦してきました!
2025年3月1日、2025年3月1日・2日の両日に幕張メッセで開催されている、公益財団法人日本ボールルームダンス連盟(JBDF)が主催の社交ダンスの競技会「2025スーパージャパンカップダンス」を会員の岩澤が観戦してきました。


「スーパージャパンカップダンス」では、全日本選抜ダンス選手権(アマ・プロ)、ライジングスター競技会(アマ・プロ)、スーパーシニア競技会、グランドシニア選手権、全日本ジュニア・ジュブナイル選手権などの通常の競技の他に、音楽・振り付け・表現が一体となった独創的なダンスである全日本セグエ選手権も行われます。
そして今回は、社交ダンス初心者や初めて競技会を観戦する方向けに、一日ガイドさんが案内をしてくれる『観る専ツアー』(JBDF主催)で参加しました。
ツアーでは、大会観戦の方法や審査の方法、競技会のあれこれ、審査員長の解説など観戦しながら色々なお話を聞くことができ、さらに館内ツアーでは実際にフロア近くで観戦することができたりと、観る専に参加しないと体験できない貴重な経験をさせていただき、競技ダンスをより身近に感じることができました。
座席で見るのとフロアの近くで見るのとでは迫力も衣装の見え方も全然違うので、もし社交ダンス初心者で初めて競技会を観戦される方はぜひ「観る専」でのご参加をおすすめします!
社交ダンスと著作権の関係
著作権法第10条で例示されている通り、社交ダンスの振り付けも原則的に著作物として認められています。
(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
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(以下省略)
(引用:著作権法 | e-Gov法令検索)
しかし、すべての振り付けが著作物として認められているわけではなく、判例では以下のように判断されています。
映画「Shall we ダンス?」事件(東京地判平成24年2月28日判決)
本件は、映画「Shall we ダンス?」のダンスシーンで用いられたダンスの振り付けを創作したと主張する原告が、被告による上記映画のビデオグラムの販売・貸与、テレビでの放映等の二次利用によって、原告の有する上記ダンスの振り付けに係る著作権(複製権、上映権、公衆送信権及び頒布権)が侵害されたと主張して、被告に対し、主位的に民法709条に基づく損害賠償を請求し、予備的に民法703条に基づく不当利得の返還を請求する事案である。
社交ダンスは,原則として基本ステップやPVのステップ等の既存のステップを自由に組み合わせて踊られるものであり、基本ステップやPVのステップ等の既存のステップは,ごく短いものであり,かつ,社交ダンスで一般的に用いられるごくありふれたものであるから,これらに著作物性は認められない。
また,基本ステップの諸要素にアレンジを加えることも一般的に行われていることであり,前記のとおり基本ステップがごく短いものでありふれたものであるといえることに照らすと,基本ステップにアレンジを加えたとしても,アレンジの対象となった基本ステップを認識することができるようなものは,基本ステップの範ちゅうに属するありふれたものとして著作物性は認められない。
社交ダンスの振り付けとは、基本ステップやPVのステップ等の既存のステップを組み合わせ、これに適宜アレンジを加えるなどして一つの流れのあるダンスを作り出すことである。
このような既存のステップの組合せを基本とする社交ダンスの振り付けが著作物に該当するというためには、それが単なる既存のステップの組合せにとどまらない顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であると解するのが相当である。
判決では上記のとおり著作物性を否定しました。
振り付けについての独創性を緩和し、組合せに何らかの特徴があれば著作物性が認められるとすると、わずかな差異を有するにすぎない無数の振り付けについて著作権が成立し、特定の者の独占が許されることになってしまいます。
その結果、振り付けの自由度が過度に制約されることになりかねないとの理由からこのような判断となりました。
これは既存のステップの組合せに加えて、アレンジを加えたステップや、既存のステップにはない新たなステップや身体の動きを組み合わせた場合も同様です。
💡社交ダンスの振り付けが著作物に該当する場合
社交ダンスの振り付けが独創性を備えている場合には、振り付けをした人が著作者として、著作権と著作者人格権を有します。
著作権の例として、無断で録画をされない権利(複製権)や、無断で公衆の前で上演されない権利(上演権・演奏権)などがあります。
さらに振り付けが著作物に該当する場合は、著作物を演じるダンサーは実演家となり、実演家の権利として著作隣接権と実演家人格権を有します。
著作隣接権とは、著作物を創作していないものの、著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者に与えられた権利であり、著作権法により保護されています。
著作隣接権の例として、無断で実演を録画されない権利(録音権・録画権)や、無断で実演の録画物を公衆に販売されない権利(譲渡権)などがあります。
💡では先述したセグエ選手権の振り付けについてはどうでしょうか?
セグエとは、ダンス種目から二つ以上の種目をつなげてひとつの作品として踊る創作性の強いダンスで、ショーダンスに近いといえます。
全日本セグエ選手権の競技規定では、1種目以上の構成と規定されています。
テーマを決め、そのテーマのストーリーや世界観を表現するために音楽を選び、振り付けを考えます。
そのため、セグエ選手権での振り付けに関して独創性を備えているといえるので、著作物と認められる可能性が高いです。(ショーダンス全体ではなくあくまで振り付けのみ)
社交ダンスとは
社交ダンスは男女ペアで踊るダンスのことで、社交ダンスの種類はスタンダード(ボールルーム)とラテンに分けられ、それぞれ5種目のダンスがあります。
スタンダード(ボールルーム)
ワルツ/タンゴ/スローフォックストロット/クイックステップ/ヴェニーズワルツ
スタンダードでは男女がホールドを組んで、基本離れずに踊ります。

(画像引用:PxHere https://pxhere.com/)
ラテン
チャチャチャ/サンバ/ルンバ/パソドブレ/ジャイブ
ラテンはホールドを組んだり離れたりして踊るので、スタンダードよりは自由度が高くなります。

(画像引用:PxHere https://pxhere.com/)
そして競技ダンスでは、それぞれ決まったペアで、定められたルールの基にダンスの技術や芸術要素の優劣を競います。
今回私は、映画「Shall we ダンス?」を見ただけの知識で観戦しましたが、観る専の解説でも仰っていたように、社交ダンス(競技ダンス)では「マナー」が非常に問われるものだと伺いました。
実際にそのことを体感する出来事が起こり、競技中選手同士がぶつかるアクシデントがあり、片方のペアの一人が転倒したまま起き上がらず、競技が中断したことがありました。
そして他の出場選手が様子を見に転倒している方の周りに集まっているのかと思っていたのですが、そうではなく転倒している方が観客から見えないように他の選手で壁を作っていたのです。
その後、転倒した方は担架で運ばれていきましたが、運ばれるときも他の選手が壁を作ったまま一緒に退場していったのを見てとても胸が熱くなりました。
選手同士がお互いを敬っている上での行動だと思いますが、これが社交ダンスのマナー、品格なんだなと感動したのを覚えています。
幸いにも転倒された方に大事はなく、その後も踊れるということで、その後の競技にも出場されていました。
スーパージャパンカップダンス
3月1日(土)1日目プロ選抜 ボールルーム
最終予選#SJC2025#スーパージャパンカップ2025 pic.twitter.com/iuZl0DA3Zt— EJBDF普及広報部 (@EJBDFinfo) March 1, 2025